PRELIMINARY SCHEDULE P-17 (2016-2017)
P-17.01 (アイ・キャッチャー)Eye-Catcher with 1⁄2 roll, 1⁄2 roll
P-17.02 (ハーフ・スクエアー・ループ)Half Square Loop with 1⁄2 roll
P-17.03 (ナイフ-エッジ・コンビネーション)Knife-Edge Combination with 1⁄4 roll, roll, 1⁄4 roll
P-17.04 (ストール・ターン)Stall Turn with two consecutive 1/4 rolls
P-17.05 (ハンプティ-バンプ 1/2ナイフ-エッジ・ループ)Humpty-Bump with 3⁄4 roll, 1⁄2 knife-edge loop, 3⁄4 roll
P-17.06 (コメット)Comet with two consecutive 1⁄4 rolls, 1⁄2 roll
P-17.07 (シックス・サイデッド・ループ)Six-sided Loop with two consecutive 1⁄4 rolls, roll, two consecutive 1⁄4 rolls
P-17.08 (スプリットSリバース・インメルマン)Split S Reverse Immelmann Combination with two 1⁄2 rolls, two 1⁄2 rolls
P-17.09 (フィギュアS)Figure S with 1⁄2 roll integrated
P-17.10 (スピン、1/2ロール)Spin with three turns, 1⁄2 roll
P-17.11 (45 度アップライン)45° Upline with consecutively 1⁄2 roll, roll, 1⁄2 roll.
P-17.12 (リバース・ハンプティ-バンプ)Reverse Pull-Pull-Push-Humpty-Bump with roll (Option: with 1⁄4 roll, 3⁄4 roll)
P-17.13 (トライアングル)Triangle Loop with two consecutive 1⁄4 rolls, two consecutive 1⁄4 rolls, four consecutive 1⁄4 rolls
P-17.14 (ハーフ・スクエアー・ループ・オン・コーナー)Half Square Loop on Corner with 1⁄2 roll
P-17.15 (ロール・コンビネーション)Roll Combination with consecutive 1⁄2 roll, snap roll, 1⁄2 roll
P-17.16 (ハーフ・キューバン8)Half Cuban 8 with consecutive two 1⁄4 rolls
P-17.17(ループ・ウイズ・ロール・インテグレーテッド)Loop with roll integrated
アレスティ記号や演技解説からは、飛行手順を知る事が出来ます。
でも、その順番だけを守って「直線、コーナー、ロール」とやっているだけでは、決して良い図形は描けません。
実際のパターンフライトでは「大空のキャンバスにどんな図形を描き出すか」が問題となるので、「与えられた空域の中のどこに機体を持って行くか」という、緻密な計画が必要となるのです。
そこで、次のようなパターン図を描き出して色々と考えてみる事にしました。
演技に寸法の規定は無いので、これはあくまでも飛行プランの一例に過ぎません。
これを見る限り、P-17はこれまでのパターンと違って何か統一感が無く、雑然としていますね。
つまり、これまで飛行させた事がない空間を飛ばす事になるので、最初は戸惑があるかもしれません。
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(2015.6.19)
●P-17.07 (シックス・サイデッド・ループ)
1番目の演技から順に話を進めたいところですが、P17パターンを描く上で一番問題となるのが六角宙返りで、この描き方が決まらないと他も決まらないので、先ずはこの演技からです。
ただの正六角形ならどうと言う事ありませんが、3辺にロールが含まれ、しかも底辺ではフルロールを行わなければなりません。
これがどれくらい大変か、P-15のアワーグラスと比較してみるとわかります。
青が正解で、緑が実際に良く見かけるアワーグラスです。
特徴としては、降下角度が浅く、底辺が長く、その後のRが大きくなっています。
P-15ではこの長い底辺の中で、半ロールだけを行っていたのです。
ところが図をみれば一目瞭然ですが、赤ラインで描いた様な、かなり大きい六角形でも、底辺はアワーグラスと同じ長さです。
この短い辺の中で「直線、フルロール、直線」を行うのですから、今までと同じ事をやっていたのでは通用しない事が理解できるでしょう。
結局、六角形の大きさとしては、これだけで考えると、フレームの範囲内で大き目に描くしか無い事になります。
ただ、その前の演技(コメット)にも事情があるのです。
●P-17.06 (コメット)
フレームが限られているので、コメットと六角形の関係はこんな感じになります。コメットの到達高度は、Rの大きさとラインの長さで変える事はできます。
もし、これ以外の形の飛行をさせようとするなら、それはどこかに無理があるか、あるいは演技位置に問題がある事になります。
(2015.6.22)
例えば、上図の「緑」の様に、アレスティ略図の様なコメットを描いたのでは、六角形に必要な高度は稼げません。
六角形を大きく描く為には「青」の様に、コメット自体の飛行高度を高くする必要があり、それには、その前のハンプティや、そのまた前のストールターンから高度調整をする事になります。
この様な考察をしないでフライトするのは、地図を見ないで知らない土地へ行く様なものです。
練習で回り道をしないためにも、前もって十分に検討しておきましょう。
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(2015.7.22)
順番が前後しましたが、改めて最初の演技から見てみます。
詳しい飛行手順については印西RC スケジュールP-17 練習資料に載っているので、こちらでは気になった部分に触れるだけです。
まずは、P-17.01 (アイ・キャッチャー)からP-17.04 (ストール・ターン)まで。
●P-17.01 (アイ・キャッチャー)Eye-Catcher with 1⁄2 roll, 1⁄2 roll
特に問題は無いと思いますが、難しいとすれば、二つの円が接する部分でしょう。
マイナスGからプラスGに瞬時に切り変えとなるので、直線部分はありません。
また、風がある時は偏流修正角が必要なので、切り返し時の姿勢が垂直とは限らない事にも注意が必要です。
●P-17.02 (ハーフ・スクエアー・ループ)Half Square Loop with 1⁄2 roll
「直線・コーナー・直線・ロール・直線」といったパターン飛行の基本演技ですが、改めて細かく見てみましょう。
パターン飛行は「機体重心の描く飛行経路」を重視します。
飛行姿勢が一番ではありません。
(飛行航跡3の偏流修正角あたりを参照)
上図左は、正確にハーフ・スクエアー・ループを描いた時の重心の経路です。
これを分解してみたのが真ん中の図で、直線と部分宙返りで成り立っています。
直線とコーナーは瞬時に切り変わりますが、接する関係にあるので、「節」はありません。
Gを変化させるために飛行機は瞬時に飛行姿勢を変えますが、その量が適量である限り、経路に「節」は発生しないのです。
直線からコーナーに移行する時の姿勢変化は、Rの大きさで変わります。
P-17.01 アイ・キャッチャーの様な大きなRでは、特に大きな姿勢変化はありませんが、ハーフ・スクエアー・ループの様な小さなRとなると、Gを変化させるために瞬時の飛行姿勢変化が見えて来るのが自然です。
ただし、審査項目には「正確性」の他に「滑らかさ」という要素もあるので、極端な操作や演技は減点の可能性もあります。
上図右は、演技毎のRの大きさの違いを気にせずにダラダラとコナーを描いたものですが、直線とコーナーのけじめが無く、正確性の点で減点箇所が多くなってしまいます。
これを減点だけで考えれば、
・Rの変化で減点
・ロールの前に直線が無いので3点の減点
・ロールの後に直線が無いので3点の減点
・Rの変化で減点
と、たちまち点数が無くなってしまいます。
実際には演技をやった以上、0点の採点はあり得ないので何点かつくでしょうが、かなり低い点数にしかならないでしょう。
直線とコーナーのけじめのつけ方については、YouTubeのスタビライズ加工した動画が非常に分かり易いので、気をつけて観てみると良いでしょう。
また、横向きカメラによる動画は、より詳しく「R」と「直線」と「ロール」の状態を知る事が出来るので、お勧めです。
●P-17.03 (ナイフ-エッジ・コンビネーション)Knife-Edge Combination with 1⁄4 roll, roll, 1⁄4 roll
フル・ロールの前後にあるナイフ・エッジは「維持されたナイフエッジ飛行」となっています。
●P-17.04 (ストール・ターン)Stall Turn with two consecutive 1/4 rolls
これまで何回も出てきた演技ですが、上記、ハーフ・スクエアー・ループの所で述べた様な、直線とRのけじめも大事です。
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(2015.7.27)
●P-17.05 (ハンプティ-バンプ 1/2ナイフ-エッジ・ループ)Humpty-Bump with 3⁄4 roll, 1⁄2 knife-edge loop, 3⁄4 roll
アレスティにはもう一つ別の描き方が載っていますが、現実的では無いので通常はこの形だけとなります。
これをパーツごとに分解してみると、部分宙返り、直線、3/4ロール、ナイフエッジ・ループ、となっています。
このパーツ、一つ一つをきちんとこなして行くのは、上のハーフ・スクエアー・ループで述べた事と同じです。
そして、この中で特に難しいのが、赤丸で示した、1/2ナイフエッジ・ループを終え真下に向かう部分です。
なぜかと言うと…
ここで、ナイフエッジループを考えてみてください。
ループを描くためには向心力が必要です。
時計の6時の位置でループを開始するとして、
6時、3時、12時、9時と、舵の量は違っても、必ず向心力を得るために機軸の変化があるハズです。
細かい事を言えば、ラダーでなくて、エレベーターを使った通常のループでも同じ事です。
ただその場合は、主翼の揚力が大きいので、これほど目立った変化が無いだけです。
ここで注目なのが、9時のところ。
必ずラダーが入っています。
オレンジの様にニュートラルではありません。
もし、オレンジの様だったら、向心力が無いのでループは描けません。
ここまで来ればお分かりと思いますが、
ハンプティ・バンプのナイフエッジ・ループでは、
9時の位置直前までラダーが入っている必要があって、直線に入る瞬間に、ニュートラルとなるのが正解となります。
青の様に、一見行き過ぎと見えるのが、理屈上は重心が正確な航跡を描いています。
それに、通常この部分は追い風となるので、偏流修正角で斜め姿勢のまま下りて来る場合も多くなります。
パターン飛行は「機体重心の描く飛行経路」を重視するので、これらの機軸のズレに関しては問題ありませんし、減点してもいけません。
ただし、上のハーフ・スクエアー・ループの説明の所でも書きましたが、審査項目には「正確性」の他に「滑らかさ」という要素もあるので、いくら理屈上は正しいと言っても、極端な操作や演技は減点の可能性も出て来るので注意は必要です。
一方、紫の場合ですが、
これは、「飛行経路と機軸のズレ」を理解しないで飛行した例で、ラダーのコントロールが足りなくて、飛行機のなすがまま放物線を描いて落下しているだけとなっています。
放物線なので、いつまでたっても横方向の力が残り、垂直ラインが斜めになったり、直線が無いままロールを開始したりと、減点項目だらけの結果となってしまいます。
飛行機は、スピードの変化や、正面、背面、ナイフ・エッジ、偏流修正、など、様々な場面で飛行経路に対して機軸をズラしたり、あるいはズレている様に見えて飛ぶものです。
どんな場面でも、飛行姿勢に惑わされず「機体重心の描く飛行経路」で判断できる様、心がけたいものです。
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