Musette(ミュゼット)
◎緒元
翼長 1100mm
全長 1190mm
翼面積 29dm²
飛行重量 1200g
Denkadoにて43,500円で予約受け付け中。
フィルムカラーの透け過ぎを抑えたシルバーグレー塗装版(逆光の飛行場向き)は、5,000円増し。
送料2,500円
販売品は写真にある様なフィルム貼り完成状態で、タイヤやリンケージ用品は付属していません。
フライトまでには、水平尾翼取り付けなど若干の工作が必要です。
●サーボ
本機は軽量で舵面が大きめなので、舵の反応は敏感です。
サーボの動きがモロに反影されるので、特にエレベーターでは、なるべく大きめで動きの確かなものをお使いください。
軽量モーターにも対応出来る様にテールは軽めにしてあるので、推奨モーターの場合は30g近くまでのミニサーボが使えます。
廉価(れんか)版で性能の劣るサーボでは、本来の飛びは全く出来ません。
また、プロポの設定時、サーボ動作角は可能な限り目一杯動く様にして、サーボが本来持っている分解能を有効に利用できる様にします。
それと、これも舵の動きに関係する事ですが、
本機舵面のベニヤ製ホーンは、ボールリンクをねじ止めして使うとベニヤ自体が捻れて舵の効きが悪くなってしまいます。
純正ホーンのまま使う場合は、通常のクレビス式のロッドアジャスター(できれば金属製)を使う様にしてください。
穴のガタは瞬間接着剤で修正出来ます。
現在のところ、エルロンにはSAVOX SH-0257MG
エレベーターにはHENGE MD752H
ラダーにはES3054をお勧めします。
小型サーボの寿命は不明な部分も多いので、使用状況に応じて早めに交換し、下ろしたサーボのモーターブラシの傷みをチェックをしてみるのが良いでしょう。
エレベーターやラダーサーボに使う延長コードは最低300mmのものが必要で、出来ればこれより長めの方が受信機の出し入れには便利です。
サーボホーン長さの目安 エルロン:13mm エレベーター:8mm ラダー:14mm
●舵角
・舵角(幅広部分の片側動作量)と、エクスポネンシャル(プロポやサーボによって異なる)
エルロン 10〜30mm程度動かせる準備をしておきます。舵の反応が良いので初フライトは半分程度の舵角で行い、その後目的に合わせます。
エレベーター 20mm 35%
ラダー 75mm 40%
●スナップ時の動作量
本機は軽量なので擬似スナップしかできません。
動作量はスナップの種類やコントロール方法によって異なります。
舵を入れるタイミングや機速によっても異なるので、スナップ専用の舵角切り換えを利用して、エルロン大、エレベーター&ラダー小、にして色々試してみる事になります。
ほんの一例として:A 30mm E 5mm R 15mm
尚、スナップ・ロールの操舵は、スナップ・スイッチではなく、スティックで行う様にします。
スナップ・ロールに限った事ではありませんが、ロールは舵を入れたり抜いたりする順番や量が大切で、これをスイッチ1つで再現する事は不可能で、特に「止め」ではエルロンの微妙な操作が必要です。
素早いロールでも「ピタッ」と止められる様に練習します。
●「逆・空戦フラップ」を使ったスナップ・ロールの実験
・フラップの動作設定
動く方向はエレベーターと同じ。(エレベーターUPでフラップUP)
フライト・コンディション・スイッチ等で、スナップ用モードのON-OFFができる事。
また、スナップモードONの時、エレベーター・スティックを最大に倒した時にだけフラップを最大にできる事。
これは、スナップモードONの時でも、通常操作範囲には影響が無い様にする為。
・フラップ使用時のスナップの舵角と操縦方法
機体の進行方向や状態によって最適値は異なるので、以下は目安の数値。(mm)
上昇スナップ: A33 E10 R15 F25
下降スナップ: A25 E14 R30 F32
スナップモードONにする。
機体に運動エネルギーが十分にあれば、スナップの直前にスロットルをほんの少し下げる。
エレベーターを引き、スティック最大になるとフラップ・ミキシングがONになり、フラップが上がる。
と、同時にエルロンとラダーを切り、ローテーションさせる。
●重心位置
エルロンヒンジラインより120mm前方
●飛行調整のヒント
・ラダーのニュートラル
本機だけではありませんが、ラダーのニュートラルは大変重要で、1mmのズレが飛行に影響して来ます。
ニュートラルの確認は、飛行中の機体を真後ろから見て調べるのが一番確実です。
垂直降下時には、プロペラブレーキによって右ヨーと左ロールの癖が発生します。
単調な演技ではこういった癖が目立って来るので、できればミキシングで癖取りをしておいた方が良いでしょう。
(下に画像追加)
・サイドスラスト
ラダーのニュートラルの次に、垂直上昇させてサイドスラストの確認と調整をします。
垂直の精度にもよるので、ラダーの修正舵をポンポンと打って上昇させ、それでも曲がるかを確認します。
スラストの調整は下写真にある様に、アルミマウントの下に紙を挟むか、あるいはヒノキ棒とゴムの間に紙を挟んで行います。
アルミマウントの下に紙を挟む場合でも、スピンナーがついていても前からドライバーを差し込んでネジを外す事が可能なので、スラスト調整のためにモーターやプロペラを毎回機体から取り外す事はありません。
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因みに、通常の機体でサイドスラストをつける主な理由は、垂直尾翼が胴体の上方にしか無いからです。
プロペラ後流のねじれた風が胴体上側の垂直尾翼に当たれば左ヨーが出ます。
それを打ち消すのが右サイドスラストです。
もし垂直尾翼が胴体下だけにあるなら、逆に右ヨーの癖を左サイドスラストで相殺する事になります。
高翼機の様な「プロペラよりも主翼が高い位置にある機体」では、プロペラでねじられた気流が主翼と胴体の空間によって整流されやすいので、垂直尾翼にあたる流れも真っ直ぐに近くなります。
また、高翼機は空気抵抗の都合でダウンスラストも多めに必要で、このダウンスラストはPファクターによって右ヨーも発生します。
これらの事から、高翼機では右サイドスラストが少なくて済むと思われます。
それと、ついでに、飛行機にかかるプロペラ反動トルクについてですが、この強さは機体をトルクロールをさせた時に実感できます。
主翼があると、ねじれたプロペラ後流が主翼に当たって、そこで本来の出力トルクと打ち消し合うので、表面上はそんなに強く感じられないのです。
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・ダウンスラスト
重心位置やエレベーター・トリム位置などと、ピッチ方向に関連する要素は他にも色々あるので、上下方向スラストのズレには気が付かない事が多いものです。
また、調整した時の反応も、サイドスラスト程敏感ではありません。
プロペラの働きを細かく考えればきりがなくて、例えば、
右サイドスラストはPファクターでアップの作用があるとしても、推力線が機体空気抵抗の中心より上にあれば、理屈上は僅かにダウンの作用があります。
正面・背面などの飛行姿勢によってPファクターの影響は絶えず変わります。
本機は0°を基本としますが、故意にダウンスラストを付けるとやり過ぎとなり、他の癖も出る様になってしまいます。
マウントゴムの変形などもあるので、下写真の様に、胴体下面に対してプロペラが垂直になっているか、時々確認が必要です。
・フライトしてエルロンのニュートラル位置がズレている時は、胴体に開いているΦ3ダウエル用の穴を修正して翼の取り付け角を変えてみます。
・ジャイロ効果
本機は、機体の割に大きなアウトランナー・モーターとプロペラを使うので、単発機固有の癖が出易くなっています。
その一つが、ジャイロ効果によるエレベーター・アップ時の右癖です。
ジャイロ効果は、反動トルクやプロペラ後流よりも影響が小さいので気づかれない事も多いですが、例えば、(安全の為に)主翼を外した胴体を手で持って、プロペラ高速回転させ、アップ方向やダウン方向に向きを変えてみると体感できます。
機体の向きを変えている間だけ、アップ時では右に、ダウン時では左に行きたがる事が確認できるはずです。
回転数が高い程、影響が大きくなるので、できればスロットル操作は他の人にしてもらった方が安全です。
この影響を避けるには二重反転(コントラ)が望ましいのですが、通常のフライトではそれ程気にならないので、多くのフライヤーは自然に修正舵を打つ事に慣れていきます。
その為、コントラを飛ばしてみると、癖の無さに、かえって違和感を持ったりするものです。
実際のフライトでは、例えば垂直上昇やループの場合、
中速で演技スタートし、真上を向いてからスロットル全開にする事で幾分影響を弱める事が出来ます。
本機の標準的なセットでもそれなりにパワフルですから、当然、この様なスロットル操作を併用したフライトは可能で、スロットル・ワークはあらゆる場面で第4の舵となるので、しっかりと練習し身につける事が大切です。
どうしても癖が気になるのであれば、通常は行いませんが、エレベーターからラダーやエルロンへミキシングという手も考えられます。
カーブミキシングなどを使って、初期のミキシング量が多くなる様にすれば、上手くいくかもしれません。
・Pファクター
プロペラ回転面に斜めに風が当たった時に、回転面の(上下左右といった)場所によって、引きが均一で無くなってしまう現象です。
ブログ記事→Pファクター
例えば、ナイフエッジ飛行の様にテールを下げて水平飛行した時は、Pファクターは左にコースを変える働きをします。
更に細かい事を言えば、水平飛行、背面飛行、ループ中などにおいても、プロペラ回転面に当たる風は垂直ではないので、その時々に応じてアンバランスの力が発生しているものと思われます。
・フラップのトリム修正
フラップを半固定式にしてトリム位置を変えてみるのも面白いものです。(下の写真も参照)
片翼のフラップだけを数ミリ上げて(又は下げて)みると、ローリングには殆ど影響が出ず、ピッチングのみ変化するのが分かります。
つまり、フラップ部分のねじれは、見た目が悪いだけで、ロールの癖にはあまり関係ありません。
ピッチングの変化分はエレベーターでトリム修正するので、結局、その分だけナイフエッジの癖が変わる事になります。
ナイフエッジの癖取りは通常、「重心位置を前後させる事によってエレベーター・トリムを変化させて行う」のですが、フラップもかなり効果があるのがハッキリ分かります。
・翼端板
翼端の揺れや機体の横滑りを少なくする効果があり、大きさによって効きが変わります。
安定感が増すので役立つ場面も多いですが、自転車に補助車輪を付けた様な感じになるので、演技によっては邪魔になる事もあります。
・クセ取り用ミキシング
パターン機の基本的なクセ取り用ミキシングとしては、
ナイフエッジ関係で「ラダー→エレベーター」と「ラダー→エルロン」、
また、パワーオン・オフによるピッチング関連で「スロットル→エレベーター」があります。
もし、送信機のミキシング機能に余裕があるならば、垂直ロールの軸ズレ対策に使うのも良いでしょう。
[垂直ロールの軸ズレ]
軸ズレを調べると言っても、1回転させてしまったのでは色々な動きが絡み合って良く解らなくなってしまいます。
そこで、「1/4ロールした時のピッチとヨーのズレ」を別々に観察してみると理解し易くなります。
少しゆっくりめのロールの方が良いかもしれません。
「垂直上昇」「垂直下降」と、その左右回転方向によって、ピッチやヨーのクセが変わるので、実際には次の8種類をチェックする必要があります。
※(下に説明画像あり)
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<ピッチ方向>
パワー・オン時
平面形を見せた垂直上昇→右1/4ロールで側面姿勢にしてピッチ方向のズレ(アップ or ダウン)
平面形を見せた垂直上昇→左1/4ロールで側面姿勢にしてピッチ方向のズレ(アップ or ダウン)
パワー・オフ時
平面形を見せた垂直下降→右1/4ロールで側面姿勢にしてピッチ方向のズレ(アップ or ダウン)
平面形を見せた垂直下降→左1/4ロールで側面姿勢にしてピッチ方向のズレ(アップ or ダウン)
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<ヨー方向>
パワー・オン時
側面を見せた垂直上昇→右1/4ロールで平面姿勢にしてヨー方向のズレ(左 or 右)
側面を見せた垂直上昇→左1/4ロールで平面姿勢にしてヨー方向のズレ(左 or 右)
パワー・オフ時
側面を見せた垂直下降→右1/4ロールで平面姿勢にしてヨー方向のズレ(左 or 右)
側面を見せた垂直下降→左1/4ロールで平面姿勢にしてヨー方向のズレ(左 or 右)
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[垂直ロール用ミキシング]
クセが分かったら、ピッチとヨーそれぞれを「エルロン→エレベーター」「エルロン→ラダー」のミキシングで減らして行きます。
ミキシングは、実際のロールで倒すスティック位置の時に最大になる様なカーブミキシングが望ましく、
スロットルのハイとスローでも別々に調整出来る機能が欲しい事になります。
●モーター
E-MAX GT2826/05 860KVを推奨します。
ESCのタイミング設定はHighにします。
パワー感など全く問題無く、プロペラマウントも付属品がそのまま使えるので、コスト的にもミュゼットに最適なモーターです。
ミュゼット専用ギヤボックスと組み合わせて使う事もできます。
OSモーターは性能が良いのですが、OMA-3820-960はKVがちょっと高めなので、小さいペラを使用する事になります。
また、OMA-3825-750はLiPo4セル用ですが、これをLiPo3セルで大きめのペラという組み合わせも、面白いかも知れません。
パワーユニットについてはダイレクトドライブとギヤダウンのページも参考にしてみてください。
●コントローラー(ESC)
HOBBYWING FLYFUN-40A V5の設定例をESCプログラムカードに記載。
ブレーキ設定が上手くできれば下降時のスピードを抑えられるが、
ストールターンやサイドスリップ、トルクロールなどの時のスロットル操作がやりにくくなったりするので、
ブレーキ無しモードの時の様な、気楽さ飛ばしやすさはなくなります。
●プロペラ
プロペラによって飛行フィーリングが変わって来ます。
KV1100以上のモーターと11インチ程度のプロペラの組み合わせは、単純な操縦感覚、
KVの小さいモーターと14インチペラの組み合わせは、難しくはなるが、空気を捉える味わいを楽しめる操縦感覚、となります。
好みや入力の大小もあるので最適サイズは決められませんが、私の経験では、APC14*7Eが好印象となっています。
また、専用ギヤボックスを使ってAPC15*8を回せば、ギヤダウンならではの安定感を得る事ができます。
●プロペラアダプター
モーター付属の安価なプロペラアダプターは使い物にならない物が多く、トラブルの原因にもなります。
OSモーター付属品レベルの、必ず、間違いの無いものをお使いください。
E-MAXモーター付属のコレット式アダプターは、コレット軸とドライブワッシャー穴の間に隙間があるので、コレット軸にテープを巻いてガタを無くす必要があります。
推奨モーターのGT2826/05では、ダイレクト駆動の場合付属のプロペラマウントを使用しますが、付け根部分が弱いのでプロペラナットを強く締め付け過ぎない様にします。
また、スピンナーバックプレートの穴の面取りが少ないと、プレートが浮いたままとなってしまうので、注意が必要です。
参考記事 ダイレクトとギヤダウン
●バランス調整←重要
調整の前に、各パーツの組み合わせのガタを無くしておきます。
APC14×7Eでは特にカラーが緩いので、必ずテープを貼って隙間を無くす必要があります。
バランス取りの方法は、プロペラバランス調整を参考に、必ず、左右ブレードの重さを調べるだけで無く、垂直にした時の重さ(バランス)にも気を配ってください。
プロペラ取り付け時のバランスが悪いと、最悪、モーターが飛び出す事があります。
モーターやプロペラを交換後、初めて回す時は、いきなりフルハイにしないでください。
必ず様子を見ながら徐々に回転を上げ、振動が出る様なら直ぐにストップします。
次に、モーター本体に対するプロペラ位置を(回転方向に対して)少しずらして付け直し、再度回転テストを行います。
これを全周に渡って数回に分けて行い、振動が最も少なくなる位置を探し出してください。
位置が決まったら、その位置でもう一度バランステープを増減させてみるのも良いでしょう。
ダイレクト駆動では当然の事ながら、モーター、プロペラアダプター、プロペラ、スピンナーなどが一体となって回転しています。
それぞれのパーツが完璧にバランスが取れていれば良いのですが、実際にはどこかに誤差が生じているものです。
モーター軸とプロペラの位置関係によって、誤差が打ち消し合ったり、増幅したりしているので、慎重に調整する事が大切です。
もし、プロペラ位置を変えても同じ様に振動が発生するのであれば、それは、何か1つが完璧で、他のものが不完全だからです。
バランス取りのテープを増やして、もう一度回転テストをやり直してみましょう。
完璧なバランス調整はまず不可能なので何処かで妥協する事にはなりますが、逆に言えば、運転状況を見ればその人の技術や取り組み姿勢が判ってしまうと言う事でもあります。
●バッテリー
Li-Po2600〜3300mAh-3セル11.1V を推奨。
F3Aパターンを行うと再充電で1800mAhくらいになりますから、飛行時間には気をつけてください。
Li-Poは容量ギリギリで使うと傷みが早くなるので、2000mAh以内の範囲で使う様にします。
●ミュゼットについて
Wikipediaによれば、「 ミュゼット」とは木管楽器や民族音楽に関係あるとの事。
素朴で軽やかなこの曲は、本機の「木質を基調とした作り」や「飛び」のイメージにピッタリです。
テンポ(bpm)70に近いこの曲を流しながら、動画コックピット・ビューの音を絞ってご覧ください。
音楽を聞きながらフライトした訳では無いのに、リズムと機体の動きが妙に合っているのが面白いところです。
パターン演技は直線とコーナー、そしてロールの組み合わせです。
そのメリハリをつける事の重要さが良く分かります。
●説明写真
2ページあります。
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写真の枚数制限が一杯になったので、2ページ目を追加。↓