●プロペラバランス調整
バランス調整はプロペラ単体のバランスを見るだけでは片手落ちで、実際にアダプターやスピンナーと共に機体に取り付けた時にどうなっているかが問題となります。
ここでは、簡単な道具を使ったプロペラバランスの調整方法を紹介します。
単純な方法ながら重さに対する反応は非常に優れているので、使用するプロペラやスピンナーの穴にガタなどがあれば元も子も無くなってしまいます。
軸にテープを巻いたり、穴の内側を瞬間接着剤で肉盛りするなどして、隙間を無くしておきましょう。
プロペラを取り付ける時の注意点は、ミュゼットのページも参照してください。
●プロペラ取り付け時の注意
ご存知の様に、APC電動用プロペラは付属のカラーで「取り付け時のセンター」を出す様になっています。
その為、軸と接するのは右図で示した赤いカラー部分だけとし、それ以外はバカ穴としておきます。
ただ、中には、カラーとプロペラ穴の組み合わせが緩い場合もあって、一応OKと思った物でも、プロペラを差し込んで力を加えてみると、ガタがあったりするものです。
特に、プロペラ穴の奥の方が広くなっている場合もあるので注意が必要です。
隙間調整の為に、カラーの外側にテープを半巻き、或いは1巻きくらいが必要だったりする場合もあります。
そこで、テープ1枚分の誤差とはどんなものなのか、ちょっと調べてみる事にしましょう。
条件としては
テープ: 厚さ0.05mm 重さ1cm当たり0.005g
プロペラ: APC14×7E 重さ28g
バランステープを貼る位置は中心から110mm
回転数6500rpmとします。
●バランステープの量
まず、プロペラを取り付けた時のズレ0.05mmは、バランステープなら何cm分に相当するか計算してみます。
0.05×28=110×▲
▲=0.05×28÷110=0.0127
0.0127÷0.005=2.6cm
プロペラがテープ1枚分(0.05mm)センターからズレただけで、(ペラの中心から110mm位置に)バランステープ2.6cmが必要となります。
ブレードの方向のズレならブレードにテープを貼れば済みますが、ブレードと直角方向にズレたのでは困った事になってしまいますね。
●遠心力
続いて、計算サイトhttp://keisan.casio.jp/exec/system/1245903825を使って遠心力を求めてみます。
28gのプロペラがセンターから0.05mmズレて取り付けられて、6500rpmで回転したとすると、遠心力は70gとなります。
70gの重りが、手のひらの上で、1秒間に100回ジャンプしていると思うと、かなりのものですね。
「テープ1枚分の隙間なんて」と放っておいたのでは、絶対にバランスが取れない事が良く分かります。
●バランス取りの方法
用意するもの
・鏡(又は金属製定盤など平面の基準となるもの)
・ガラス製コップ
・モーターシャフトと同径で、
長さ200mm程度のピアノ線
・プロペラアダプター
鏡の上でピアノ線を転がして、曲がりが無いか調べる。
ピアノ線の断面は真円では無いので、出来ればボール盤や旋盤などを利用して表面を磨いて凸凹を少なくすると良い。
コップの縁を鏡に押し当てて、凸凹を調べる。
少し揺すってみるとカタカタと音がして高低差が判るので、縁の高い部分に印をしておく。
高い部分が2〜3カ所でなるべく高低差の少ないコップを使う様にする。
ピアノ線にプロペラアダプターをセットして、コップの印をした場所以外の所に乗せてみる。
低い方へ転がってしまうので、コップの縁が水平になる様にコップの下に紙などを挿んで調整する。
試しにアダプターにテープを貼ってみて、転がってテープが下になる様な感度ならOK。
別のコップでも同じになるか確認するのも良い。
スピンナーとプロペラを取り付けたら、テープを貼って両方のブレードの重さを揃える。
撮影では分かり易い様に紙テープを使っているが、実際は透明テープを使う。
ブレードが水平で止まる様になっただけではバランス取りは不十分。
まだ、両ブレードが「へ」の字型をした「やじろべえ」状態になっている可能性が大きい。
そこで、画像の様にブレードを縦方向に置いて、ブレード直角方向のバランスも取る事にする。
この時の調整重りは、糸ハンダをスピンナーの内側に瞬間接着剤で貼り付け、念のためその上に粘着テープを貼っておくと良い。
最終的には、どの位置でも止まり、動き出さないのが正解となる。
※調整のやり易さから、ブレード方向とその垂直方向のバランスを別々に取る方法で説明していますが、もちろん一回で斜め方向に重りを乗せてバランスを取る事も出来ます。(非常に難しくなります)
その後、機体に取り付けての調整となる。
バランス取りの時に使ったプロペラアダプターをそのまま使う場合は大きな問題は起きないハズだが、モーター本体のプロペラマウントに付け換える場合は状況が変わってしまうので、注意が必要。
何れにしても、初めて回す時は様子を見ながら徐々に回転を上げ、振動が出る様なら直ぐにストップする。
次に、モーター本体に対するプロペラ位置を、回転方向に対して少しずらして取り付け直し、再度回転テストを行う。
これを全周に渡って数回に分けて行い、振動が最も少なくなる位置を探し出す。
静バランス/動バランスについての参考資料
回転体のバランスを取る時気をつけなければいけない事が、図やアニメーションで分かり易く解説されています。